さくっと書評

大学生の私が最近読んだ本を紹介します。1記事3分あれば読み切れますよ。

『木に学べ -法隆寺・薬師寺の美-』  

この本は、宮大工の西岡常一が、法隆寺から始まり建築論、

また、師匠と弟子の関係から、今日の資本主義のあり方まで語っています。

 

文体は、語り口調であり、やや方言まじりですが、かなり読みやすいです。

 

木に学べというタイトルに対して、何を学ぶのだと、抵抗を抱く方もいるかもしれません。

科学に絶大な信頼を置く我々現代人にとって、

例えば建築の話で言うと、木造建築は、古臭く、弱いイメージがあり、

現代的なコンクリート家屋が利便性にすぐれ、安全だと考えます。

しかし、それは、この本を読むと覆されます。

 

たとえば、

コンクリートの耐久年数は20年長くとも100年、それに対し、ひのきは1000年。

普段我々が目にする、洋釘といわれるものの耐久年数は25年、

法隆寺に使用されていた釘(古釘)は使い切りどころではなく、また溶かしてなんとリサイクル可能です。

それらで構成される家屋の耐久年数は、明らかであり、木造建築の方が長持ちするので、結果として費用面でも安上がりです。

我々は、合理的に判断した結果、コンクリートを使用しているのかと思えば、実は不合理的決断をしていたのです。

 

このことから、著者は科学は現代人はまだ未完成であるにもかかわらず、未完成の今日を科学ですべてを律しようと考えがちだといいます。

 

この話は一部に過ぎず、本の内容は、建築を超えて、人間関係、社会にまで話は広がります。

気になった方はぜひどうぞ。

 

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)

 

 

 

160223