さくっと書評

大学生の私が最近読んだ本を紹介します。1記事3分あれば読み切れますよ。

『堕落論・日本文化私観』

坂口安吾のエッセイ集です。『白痴』などの小説もかきますが、エッセイの人気も高いようです。

 

ここでは、タイトルの堕落論ならびに、日本文化私観ではなく、同文庫内の『青春論』について述べます。

 

青春とは何か、と考えると私たちは、学生時代を思い出すのでしょうか?

検索してみると、青春とは、

若い時代。人生の春にたとえられる時期。希望をもち、理想にあこがれ、異性を求めはじめる時期。

だそうです。

 

安吾は、「いつの時が自分の青春だったか」と語り始め、剣豪宮本武蔵の話に移ります。

宮本武蔵に対する我々のイメージは、誠実で、向かうところ敵なしの天才青年剣士でしょうか。

そんなイメージに対して、安吾によれば、武蔵は、

鎖鎌の相手には二刀流で挑むなど、決闘にたいする用意は万端であったこと、

ときには、定められた時刻より故意に遅れることで、相手の集中力を切らせて討つといった卑怯ともとられない戦法を取っていたことを挙げます。

このことから、武蔵は、死への覚悟を持たぬ「ボンクラ」ゆえに、生への執着を発揮して勝利し、

一か八かの絶対面で賭博している淪落の術であり、奇蹟の術であった。

と評しています。

 

このことから、安吾が考える青春、ならびに望む青春とは、

いつでも死ねるという確乎不抜、大胆不敵な魂を持つこと、

すなわち、生を全うすることだと述べられています。

 

 他にも多くの作品が掲載されています。

興味を持った方はぜひどうぞ。

 

 

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇 (岩波文庫)

 

 

 

堕落論 (角川文庫)

堕落論 (角川文庫)

 

 

 

白痴 (新潮文庫)

白痴 (新潮文庫)

 

 

  

 

『木に学べ -法隆寺・薬師寺の美-』  

この本は、宮大工の西岡常一が、法隆寺から始まり建築論、

また、師匠と弟子の関係から、今日の資本主義のあり方まで語っています。

 

文体は、語り口調であり、やや方言まじりですが、かなり読みやすいです。

 

木に学べというタイトルに対して、何を学ぶのだと、抵抗を抱く方もいるかもしれません。

科学に絶大な信頼を置く我々現代人にとって、

例えば建築の話で言うと、木造建築は、古臭く、弱いイメージがあり、

現代的なコンクリート家屋が利便性にすぐれ、安全だと考えます。

しかし、それは、この本を読むと覆されます。

 

たとえば、

コンクリートの耐久年数は20年長くとも100年、それに対し、ひのきは1000年。

普段我々が目にする、洋釘といわれるものの耐久年数は25年、

法隆寺に使用されていた釘(古釘)は使い切りどころではなく、また溶かしてなんとリサイクル可能です。

それらで構成される家屋の耐久年数は、明らかであり、木造建築の方が長持ちするので、結果として費用面でも安上がりです。

我々は、合理的に判断した結果、コンクリートを使用しているのかと思えば、実は不合理的決断をしていたのです。

 

このことから、著者は科学は現代人はまだ未完成であるにもかかわらず、未完成の今日を科学ですべてを律しようと考えがちだといいます。

 

この話は一部に過ぎず、本の内容は、建築を超えて、人間関係、社会にまで話は広がります。

気になった方はぜひどうぞ。

 

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)

 

 

 

160223 

はじめに

ブログ始めました。

 

本の内容を最小限紹介して、この本面白そう!と思ってもらい、手に取ってもらうことが目的です。

対象としては、主に同世代(大学生くらい)の人を想定しています。もちろん、どなたにも楽しめるようなるべく工夫するつもりです。

ポリシーとしては、「どんな本でも褒めることはしない」ことです。しかし、あくまで主観です。

記事については、未読者には難解と思われる表現は避け、読みやすさと軽さを最優先にして作成します。

 

未熟者ですがよろしくお願いしますね。