『堕落論・日本文化私観』
坂口安吾のエッセイ集です。『白痴』などの小説もかきますが、エッセイの人気も高いようです。
ここでは、タイトルの堕落論ならびに、日本文化私観ではなく、同文庫内の『青春論』について述べます。
青春とは何か、と考えると私たちは、学生時代を思い出すのでしょうか?
検索してみると、青春とは、
若い時代。人生の春にたとえられる時期。希望をもち、理想にあこがれ、異性を求めはじめる時期。
だそうです。
安吾は、「いつの時が自分の青春だったか」と語り始め、剣豪宮本武蔵の話に移ります。
宮本武蔵に対する我々のイメージは、誠実で、向かうところ敵なしの天才青年剣士でしょうか。
そんなイメージに対して、安吾によれば、武蔵は、
鎖鎌の相手には二刀流で挑むなど、決闘にたいする用意は万端であったこと、
ときには、定められた時刻より故意に遅れることで、相手の集中力を切らせて討つといった卑怯ともとられない戦法を取っていたことを挙げます。
このことから、武蔵は、死への覚悟を持たぬ「ボンクラ」ゆえに、生への執着を発揮して勝利し、
一か八かの絶対面で賭博している淪落の術であり、奇蹟の術であった。
と評しています。
このことから、安吾が考える青春、ならびに望む青春とは、
いつでも死ねるという確乎不抜、大胆不敵な魂を持つこと、
すなわち、生を全うすることだと述べられています。
他にも多くの作品が掲載されています。
興味を持った方はぜひどうぞ。